
那須川天心は、日本の格闘技界において、キックボクシング、総合格闘技(MMA)、そしてボクシングの3つの分野で圧倒的な実績を残してきたアスリートです。その類稀なる才能から「神童」のニックネームで親しまれ、その一挙手一投足が注目を集めています。
1. プロフィールと格闘技のルーツ
那須川天心は1998年8月18日、千葉県松戸市出身のサウスポーです。5歳から極真空手を始め、小学生時代には極真空手のジュニア世界大会で優勝を果たすなど、幼少期からその非凡な才能を見せつけました。その後、テレビで見たキックボクシングに憧れ、キックボクサーへと転向します。
アマチュア時代も数多くのタイトルを獲得し、2014年7月に15歳でプロデビュー。そのキャリアを通じて、当てさせずに当てるスピードとステップを駆使した独自のスタイル、そして一撃で仕留める左ストレートを得意としています。
2. キックボクシング・MMA時代の「不敗神話」
プロ転向後、那須川天心はキックボクシングと総合格闘技(MMA)のリングで驚異的な強さを発揮し、公式戦無敗のままキャリアを積み重ねました。
キックボクシングでの功績
キックボクシングでは、42戦42勝(28KO)という驚異的な戦績を記録しました。
史上最年少での王座獲得: 2015年5月、プロ6戦目にして史上最年少の16歳でRISEバンタム級王座を獲得。その後、RISEの世界フェザー級王座やISKAの世界王座など、多くのベルトを戴冠しました。
RIZINでの活躍: 大晦日興行の常連となり、国内外の強豪を相手に快勝を続け、日本の格闘技ブームを牽引しました。
「THE MATCH 2022」:2022年6月、長年のライバルであった武尊選手との「世紀の一戦」を実現。日本の格闘技史上最大の注目を集めたこの試合に勝利し、キックボクシングでのキャリアにピリオドを打ちました。
総合格闘技の戦績
MMAの試合も並行して行い、4戦4勝(3KO)と、こちらもパーフェクトレコードを達成しています。
3. ボクシング転向と世界への挑戦
キックボクシングでのキャリアを無敗で終えた那須川天心は、2023年4月にプロボクサーへの転向を発表し、帝拳ボクシングジムに所属。再び新たなフィールドで世界の頂点を目指すことを決意しました。
ボクシング戦績とタイトル
ボクシングでもその才能を遺憾なく発揮し、デビュー以来7戦7勝(2KO)無敗(2025年6月時点)の快進撃を続けています。
デビュー戦快勝: 2023年4月、元日本ランカーの与那覇勇気に判定勝ちを収め、鮮烈なデビューを飾りました。
WBO-AP王座獲得: 2024年10月にはWBOアジアパシフィック(AP)バンタム級王座を獲得し、格闘技界の枠を超えたタイトルホルダーとなりました(後に世界挑戦のため王座返上)。
元世界王者に勝利: 2025年2月には、元WBO世界バンタム級王者であるジェイソン・モロニー選手に判定勝ちを収め、世界トップレベルで戦える実力を証明しました。
世界王座決定戦へ
現在、那須川天心はバンタム級でWBC1位、WBA2位など世界ランキング上位に位置しており、2025年11月24日には、元世界王者である井上拓真選手とのWBC世界バンタム級王座決定戦に挑むことが決定しています。