(墓所:4区1種21側48番)
田久保英夫(1928-2001)は、昭和から平成にかけて活躍した小説家です。
慶應義塾大学文学部仏文科を卒業後、山川方夫らと第三次『三田文学』の編集に携わり、作家としてのキャリアをスタートさせました。
1969年(昭和44年)に、米軍キャンプで働く学生アルバイトの主人公を通して、朝鮮戦争の影と若者の心理を描いた『深い河』で芥川賞を受賞し、一躍注目を集めます。
田久保文学の特色は、精緻で抑制の効いた文体で、男女間の複雑な心理や、生と死、戦後の虚無感を深く掘り下げた点にあります。彼は短編の名手として知られ、叙情性と哲学的な深みを併せ持つ作品を多く残しました。
主な受賞歴には、『髪の環』での毎日出版文化賞、『触媒』での芸術選奨文部大臣賞、短編『辻火』での川端康成文学賞、『海図』での読売文学賞、そして晩年の『木霊集』での野間文芸賞などがあり、その高い文学的評価は生涯にわたって続きました。
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